news ニュース
-
理三の価値と医師免許の価値
2026年3月22日灘高生が以前ほど理三を目指さなくなった背景には、医師免許の将来的な価値低下という現実的な見通しが無関係ではないでしょう。東大理三が特別視されてきたのは、「東大」と「医師免許」という二つの価値が重なる唯一の交点だったからです。ここを押さえられるルートは他になく、だからこそ理三は突出した存在でした。
もちろん、「受験オリンピックの金メダル」という象徴的価値も見逃せません。しかし同時に、医師免許自体の社会的・経済的価値が理三の魅力を支えている側面も大きいのです。
もし極端な仮定として、医師の平均年収が500万円程度に落ち込む世界線があれば、理三や京医の偏差値は確実に下がるでしょう。今のように他学部と比べて際立って難しいのは、単なる受験の栄誉だけでなく、将来の収入や社会的地位と直結しているからです。実際には、この二つの要素が重なり合って理三の価値を形成しています。
1980年頃を振り返ると、東大理三が圧倒的だったわけではなく、東大文一もほぼ同等の存在感を持っていました。鉄緑会の「緑」は東大法学部を指します。官僚や弁護士が強く影響力を持っていた時代、東大法学部の価値は今とは桁違いに高かったのです。また1980年頃の東大文一の入試難易度は、現在の比ではありません。時代によって人気や序列は大きく変動します。
だからこそ、医師免許の価値が下がれば、理三や京医の相対的な魅力もゆっくりと低下していくでしょう。ただし、医学部志望者や進学者が過剰に心配する必要はありません。20年後・30年後に医師の経済的優位性が多少薄れたとしても、それでもなお相対的に恵まれた職業であることに変わりはなく、下がるとしても「今より少し」というレベルにとどまります。
なお、医師免許の価値が将来的に完全に落ちる世界がゼロとは言えません。たとえば、日本経済が今の予想以上に影響力を失う場合や、汎用人工知能の台頭によって医師の価値が圧倒的に下がる可能性も、理論上はあり得ます。
ただし、その場合はコンサルや外資銀行、弁護士といった他の職業の価値も同様に低下し、ホワイトカラー全体が一網打尽になる、という世界戦の話になります。もはや「別のルートで何とかしよう」と考えても無駄で、そうなったら潔く諦めるしかないでしょう。