news ニュース
-
文系のススメ
2025年12月16日指導者の立場から見ていると、突出して高い能力を示す一部の生徒を除き、進路として文系を勧めたくなる場面は少なくありません。その理由は、文系分野では努力の方向性が比較的明確で、学習量の積み重ねが成績として表れやすいからです。たとえば、英語であれば語彙や構文の習得量、日本史や世界史であれば年代や因果関係の整理といったように、「何をどれだけやれば伸びるか」を具体的に設計しやすい分野だと言えます。
もちろん、文系科目が楽だという意味ではありません。大量の暗記や継続的な演習が必要で、地道な努力を要求される点では決して軽いものではありません。ただし、学習時間や反復回数と得点の関係が比較的安定しており、成績の上昇カーブをある程度予測できるという特徴があります。模試の結果を見ながら、次に何を補強すべきかを判断しやすいのも、指導する側から見ての利点です。
一方で、物理や数学になると事情は変わります。公式や解法を覚えるだけでは対応できず、概念の理解や発想の転換が強く求められます。たとえば数学で、同じ問題集を同じ時間だけ解いていても、ある生徒は急に壁を突破する一方、別の生徒はなかなか得点に結びつかないことがあります。物理でも、現象をイメージできるかどうかで理解度に大きな差が生まれます。この差は努力不足というより、先天的な適性や思考特性の影響が大きい場合も少なくありません。
そのため、安定した成果を目指すという観点では、文系のほうが戦略を立てやすいと判断されることが多いのです。これは能力の優劣の問題ではなく、限られた時間の中で結果を出すための現実的な選択であり、指導現場では自然に共有されている感覚だと言えるでしょう。