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中途半端な理系が危ない
2026年2月22日ここ5〜10年は、いわゆる「理高文低」の流れが続いているという印象が強くあります。データサイエンスやAI、医療、工学といった分野の存在感が増し、理系学部の人気も高止まりしています。しかし、汎用人工知能(AGI)が本格的に社会実装された場合、この構図は単純ではなくなるかもしれません。むしろ危ういのは、「一定レベルの計算や処理はできるが、突出した創造性や構想力までは持たない“中途半端な理系”」ではないかと感じます。
たとえば、汎用人工知能が東大の数学と東大の現代文のどちらで満点を取りやすいかを想像してみると示唆的です。厳密なルールと明確な正解がある数学は、アルゴリズムとの親和性が高い。一方で、現代文は文脈理解、価値観の対立、筆者の立場の推定といった、高度に人間的な解釈が求められます。もし前者のほうが容易であるなら、「標準化可能な知的作業」は急速に代替される可能性があります。
その延長線上で考えると、英語をはじめとする外国語の実用的価値も相対的に低下するでしょう。高度な同時翻訳が一般化すれば、超エリート層を除き、語学力そのものが競争優位になる場面は減るはずです。今後はIQ的な処理能力よりもEQ、すなわち他者の感情や文脈を読み取り関係を構築する力、そして外国語や形式的な数学力以上に、母国語で深く思考し複雑な概念を扱う力が重要になるのではないでしょうか。