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  • 勉強の因果関係の判断は難しい

    2026年3月20日

    勉強の因果関係(原因と結果)は非常にわかりにくく、何が原因で何が結果なのか、自分でもはっきり理解できていない人が多いものです。
    その理由の一つは、勉強では簡単に対照実験ができないことにあります。

    例えば、「A塾に通ったのに偏差値が全く伸びなかった。∴A塾はダメだ」という推論は正しいでしょうか?
    もし「B塾に通ったら偏差値が6下がるところを、A塾では0で済んでいた」と考えれば、むしろA塾の方が有効だった可能性もあります。

    ある生徒は「自習中心でこの成績だから、大手予備校で授業を受けた方がいいのでは」と嘆いていました。しかしそもそも「この成績」が悪いのかどうか、明確ではありません。
    志望校に対して絶対的に成績が足りない場合、それは単純に勉強量(ベクトルの大きさ)が不足しているだけで、勉強法の方向(ベクトルの向き)が間違っているわけではないことが多いです。

    例えば、開成中学1年生の生徒が、高校3年生向けの駿台全国模試を受ければ、勉強方法も勉強時間も(過渡的な段階としては)完璧でも偏差値はほぼ確実に30前後になります。
    そこで「勉強法のどこが間違っていたのか」と敗因分析をしても意味がありません。正解は「方法は正しいが、総勉強量が足りていないだけ」。
    つまり上の生徒も「自習メインだから成績が上がってない」のではなく、単純に勉強時間が不足しているため成績が伸びてないのです。
    対照実験が簡単にできないからこそ、勉強の因果関係の分析は混乱しがちで、意味不明な議論になりやすいのです。

    因果関係を正確に見極めるのが難しいのは受験勉強だけの話ではありません。
    たとえば、「これだけ少子化対策を行っても出生率が上がらないのだから、少子化対策の政策は意味がなかったのではないか」という意見を耳にすることがありますが、これは誤解です。
    韓国などと比較すれば、日本の少子化対策がまったく効果を上げていないとは言えません。
    「もし対策を何も行わなければ、状況はもっと悪化していた」可能性があります。政府が懸命に対策を講じているおかげで、なんとか現在の水準にとどまっている、と考えることもできるのです。
    このように、対照実験ができない場合、政策の正当性や因果関係を判断するのは難しく、これは勉強法といったミクロな事例でも同じことが言えます。