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日本の大学入試が不可解な理由
2025年7月3日【わが国の大学入試が不可解な理由1】
大学入試が不思議なのは、最難関大学であっても、実際には8〜9割の学生が「学問」や「大学教育」そのものを主な目的にして進学するわけではないのに、入試問題は非常に学問的・学術的でビジネスや資本主義原理とは大きくかけ離れている点です。
多くの人は、大学を出た後は就職したりビジネスをするのに、実際の入試問題を作っているのは民間実務やビジネスの現場から最も遠いところにいる大学教授です。これが両者の乖離の一因でしょう。
現代社会では大学受験は就職や将来のための「格付け装置」にすぎないのに、その仕組みが極めて学問的に設計されているのは、冷静に考えると妙な話です。これこそ大学受験が「科挙」的な性質を持つ所以だと言えるでしょう。試験に合格することが目的でそれ以上の意味はほとんどありません。
(もちろん、無理に筋を通して解釈しようと思えば、「社会に出ればビジネスや資本主義にどっぷり浸かるのだから、大学時代くらいはせめて学問に触れましょう」という価値観だと言えなくもないのかもしれませんが)【わが国の大学入試が不可解な理由2】
日本の大学受験(一般入試)が不思議なのは、入学後に学ぶ内容と入試科目がまったく噛み合っていないところです。
たとえば東大でも数学をほとんど使わない法学部や文学部と経済学部で配点はほとんど変わりません。(採点基準が違うという話はあるにせよ)
医学部でも、実際のカリキュラムでは物理や高度な数学をほとんど使わないのに、それらが入試科目に含まれています。(「数学を学ぶことで論理的思考力が鍛えられる」という理屈は十分理解していますが)
結局のところ、大学側も学生が本当に大学で学問を深めることをそこまで期待しているわけではなく、日本の大学受験の実質的な役割は、入試を通じた格付け装置にあると言えます。
不思議な仕組みではありますが、そう考えるとある意味では一貫しているのかもしれません。